「もし今、一人でいるときに倒れてしまったら」
そんなことを考えたことはありませんか。たまに電話をかけても出ない時間が続くと、「まさか」と心配になってしまうんですよね。
一人暮らしのシニア世代にとって、急な体調不良や転倒への不安は尽きないものです。
ただ、あらかじめ「備え」をしておくことで、いざという時に救急隊や家族へ素早くつなげることができます。この記事では、ボタン一つで助けを呼べる「緊急通報ボタン」の仕組みと選び方、そして命をつなぐ「救急情報カード」の具体的な作り方まで紹介します。
なぜ「緊急時の備え」が今、大事なのか

自宅内で一番多いのは「転倒」
厚生労働省や消費者庁のデータによると、高齢者の事故の多くは住み慣れた自宅内で起きています。
- リビングや廊下のコードにつっかえる🦶
- 浴室や脱衣所の床で滑る
- ベッドや布団から起き上がった際にバランスを崩す
こうした日常のふとした瞬間に転倒して、骨折や打撲で動けなくなってしまうケースは珍しくないようです。
動けない・声が出ないときの「初期対応の遅れ」
急な脳梗塞や心臓疾患、熱中症、あるいは転倒による激痛の際、自力でスマートフォンを取りに行ったり、119番に電話したりすることが難しくなる場合があります。
連絡が遅れれば、発見も遅れ、重症化するリスクが高まってしまいます。
だからこそ、「最小限の動作でSOSを出せる仕組み」をあらかじめ整えておくことが、いざという時の生命線になります。
ワンタッチで安心「緊急通報ボタン」とは
ボタンを1回押すだけで、専門のコールセンターや警備会社、家族へ自動的にSOS信号が送信される仕組みです。
スマートフォンや固定電話の操作が難しい状態でも、素早く助けを呼べます。
① 固定型(卓上設置・壁掛けタイプ)
リビングやベッド脇に設置するタイプです。ボタンが大きく見えやすい位置に配置できるので、いざという時も迷わず押せます。
② 携帯・ペンダント型(身につけるタイプ)
首から下げたり、リストバンドのように手首に巻いたりして持ち歩けるタイプです。家の中を移動している時や、トイレ・浴室の近くで倒れた際にも手元で押せるのがメリットです。防水機能付きのものを選べば、事故が起こりやすいお風呂場でも安心して使えます。
③ 人感センサー連動型(自動検知タイプ)
「一定時間、センサーの前を通らなかった」「一定時間ドアが開閉しなかった」といった異常を感知し、本人がボタンを押せなくても自動でコールセンターへ通知が届くシステムです。
選び方のチェックポイント
- 24時間365日のコールセンター対応があるか📞
- 駆けつけサービス(ガードマン等の出動)がついているか
- 防水対応か(お風呂や洗面所で使えるか)
- 自治体の補助制度が使えるか
自治体の給付・貸与制度もチェックしてみて
多くの自治体では、一人暮らしの高齢者等を対象に、緊急通報装置の給付・貸与事業を実施しています。
月額数百円程度、または所得に応じて無料になるケースもあるそうです。まずはお住まいの市区町村の「介護保険課」「高齢者福祉担当窓口」、または「地域包括支援センター」に、補助制度の有無を相談してみることをおすすめします。「〇〇市 高齢者 緊急通報装置」で検索してみるのも手軽な方法です。
命をつなぐ「救急情報カード」の作り方
救急隊が駆けつけたとき、本人が意識不明だったり、激痛で会話ができなかったりすると、持病や服薬状況が分からず、適切な処置が遅れてしまう危険があります。そこで役立つのが「救急情報カード(救急医療情報シート)」です。全国の自治体や消防庁でも普及が進められている仕組みなんだそうです。
カードに記載しておきたい項目
- 基本情報(氏名・生年月日・血液型・住所・電話番号)
- 緊急連絡先(家族・親族の氏名・続柄・電話番号・優先順位)
- 医療情報(かかりつけ医、持病・既往歴、服薬情報、お薬手帳の保管場所、アレルギーの有無)
- 保険証・診察券の保管場所
- その他配慮してほしいこと(ペットの有無、ペースメーカーの有無など)
そのまま使える書き方の例
ノートやA4サイズの用紙に、次のようなレイアウトで、はっきりとした大きな字で書いておくと安心です。
作成日:2026年〇月〇日
■ 本人情報
氏名:山田 太郎(ヤマダ タロウ)
生年月日:1950年5月15日(〇歳)
血液型:A型/RH+
■ 緊急連絡先
①長男:山田 一郎(携帯:090-XXXX-XXXX) ※最優先
②長女:佐藤 花子(携帯:090-YYYY-YYYY)
■ 医療・健康情報
かかりつけ医:〇〇内科クリニック(電話:03-XXXX-XXXX)
持病・既往歴:高血圧、緑内障
アレルギー:ペニシリン系薬剤で発疹あり
お薬手帳の場所:リビングの電話機横の引き出し
■ 持ち出し品・保管場所
健康保険証・診察券:リビングの電話機横の引き出し
保管場所は「冷蔵庫」が鉄則
せっかくカードを作っても、救急隊が見つけられなければ意味がありません。
実は、全国の消防署や救急現場で「標準的な保管場所」として共通認識になっているのが冷蔵庫なんです。
なぜ冷蔵庫なのか
- どの家庭にも必ずある
- 目立つ場所で、救急隊が探しやすい
- 耐火性・耐熱性があり、災害時にも残りやすい
設置の手順
- マグネット付きクリアファイルや透明袋に入れる(水濡れ・汚れ防止)
- 冷蔵庫のドア(前面または側面)にマグネットで貼る
- 玄関やドアに「救急情報カード保管中」のステッカーを貼る(任意。自治体で配布している場合あり)
ご家族と一緒に確認しておきたい3つの事前準備

一人暮らしの備えは、ご本人だけでなく、離れて暮らすお子様やご親族と一緒に進めることで、より安心感が増します。
① お薬手帳と健康保険証の定位置を決める
救急搬送の際、救急隊員は「お薬手帳」を一緒に持っていきます。普段から「お薬手帳」と「健康保険証・診察券」を同じポーチや引き出しにまとめておき、救急情報カードにもその場所を明記しておきましょう。
② 鍵の解錠方法を検討しておく
ドアが施錠された状態で家の中で倒れてしまうと、救急隊や家族が家に入れません。防犯に配慮した上で、以下のような対策を検討しておくと安心です。
- 信頼できる近隣住民や親族に予備鍵を預けておく
- 暗証番号式の「屋外用キーボックス」を設置し、緊急通報サービス会社や家族に番号を伝えておく
③ 定期的な情報更新を習慣にする
持病が増えたり、飲む薬が変わったり、緊急連絡先の電話番号が変わったりすることもあります。年に1回(誕生日やお正月など)は救急情報カードの内容を見直し、最新の状態に更新する習慣をつけておきたいですね。
救急車を呼ぶか迷ったら「#7119」

「これって救急車を呼ぶべき症状?」と迷うこともあると思います。
そんな時のために、救急安心センター事業(#7119)という相談窓口があります。症状を伝えると、緊急性の判断や対応のアドバイスをもらえる仕組みです(提供エリアは地域により異なります)。
私はこう思う
正直なところ、救急情報カードなんて、元気なうちはなかなか作ろうと思わないものですよね。私も、実家に帰った時に母の持病や飲んでいる薬を、全部きちんと把握できているかと聞かれると、正直あやしいです。
でも、こうして仕組みを調べてみると、「もしもの時にどう動くか」を先に決めておくだけで、不安の質がずいぶん変わる気がします。まずは紙とペンを用意して、実家に帰ったタイミングで、一緒に救急情報カードを書いてみようと思います。
転倒予防についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
→ 足があがらなくなるのは歳のせい?高齢者の家庭内転倒、本当の原因
出典:
厚生労働省「地域包括ケアシステム」 記事を見る
東京消防庁「救急医療情報シート」 記事を見る
総務省消防庁「救急情報キットの普及について」 記事を見る
総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」 記事を見る
※本記事は2026年9月18日時点の公式情報をもとに作成しています。
緊急通報装置の補助条件や自己負担額、救急情報シートの配布方法は自治体により異なります。最新情報は各公式サイト・お住まいの自治体窓口でご確認ください。
