朝起きて、テレビをつける。ひとりでご飯を食べる。夜、電気を消す前にふと気づく。
「そういえば、今日は誰とも話していないな」
そんな一日が、実は珍しくないシニアの方は少なくないそうです。家族と離れて暮らしていたり、長年連れ添ったパートナーを見送ったりすると、会話の機会は思っている以上に減っていくのかもしれません。
たまに「元気にしてる?」と電話をすると「元気よ〜」と返ってくるけれど、その日一日、父や母が誰かと言葉を交わしたのはその電話だけだったのでは……と考えると、ちょっと切なくなります。
なぜ「会話の機会」が大事なんだろう
厚生労働省は、人と会う機会が減ると外出や食事の機会も一緒に減り、体力や気力の低下につながる悪循環になりやすいと呼びかけています。逆に言えば、外に出て人と交流する「社会参加」が、元気を保つカギの一つになるということです。
内閣府の調査でも、一人暮らしのシニアの楽しみとして「仲間とのおしゃべり」が上位に挙げられていて、毎日誰かと会話をしている人ほど、暮らしの中の楽しみの種類が多い傾向が見られるそうです。
- 人と会う機会が減ると、外出・食事の機会も連鎖的に減りやすい
- 一人暮らしのシニアは、日頃の会話や近所付き合いが少なくなりやすい傾向がある
- 会話が多い人ほど、暮らしの楽しみの種類も多い傾向がある
雑談は、ただ言葉を交わすだけのものではないんですよね。
毎日のちょっとした楽しみや、「また明日も顔を出してみようかな」と外に出るきっかけにもなっている。そう考えると、「会話が減る」というのは、思っている以上に暮らし全体に影響する話なのかもしれません。
とはいえ、「友達を作らなきゃ」「積極的に人付き合いしなきゃ」と身構えてしまうと、かえって腰が重くなりますよね。ここでは、無理なく始められそうな3つのきっかけをご紹介します。
きっかけ1:ご近所での「挨拶+ひと言」から

一番ハードルが低いのは、実は近所付き合いだったりします。
- 近所で顔を合わせたら、まず挨拶をする👋
- 「いい天気ですね」など、ひと言添えてみる🌤️
- 地域の行事や掲示板をなんとなく確認しておく📌
政府広報オンラインでは、地域のつながりが薄れる中で、周囲に相談できず孤立してしまうケースがあると説明されています。
その受け皿として、地域には「民生委員」という身近な相談相手もいて、必要があれば行政や専門機関につないでもらえる仕組みもあるそうです。
「挨拶にひと言添えるだけで元気になる」と断定できるような公的なデータがあるわけではありません(推測ですが、あくまで小さな積み重ねの一つ、というのが正直なところだと思います)。
ただ、近所に知った顔が増えるというのは、いざという時の安心材料にもなりますよね。
きっかけ2:趣味や好きなことを通じた集まりに顔を出してみる

「友達を作る」よりも「同じことを楽しむ人が集まる場所に、たまたま行ってみる」くらいの気持ちの方が、続けやすいかもしれません。
厚生労働省が呼びかけている「通いの場」は、まさにそんな場所です。体操や軽い運動、お茶やおしゃべり、趣味活動など、気軽に参加できる内容が中心なんだそうです。
- 体操や軽い運動🏃
- お茶を飲みながらのおしゃべり☕
- 趣味活動、食事や地域交流🎨
- オンラインでの交流💻

「通いの場」というと少しかしこまった響きがありますが、広い意味でとらえるなら「推し活」も立派なきっかけの一つだと個人的には思っています。
うちの母は最近すっかり藤井風にハマっていて、同世代のファン仲間とライブの話で盛り上がっているそうです(笑)。好きなことを通じて自然と会話が生まれるなら、それも十分「交流」ですよね。
きっかけ3:電話やオンラインも、立派な「交流」

「外に出るのはちょっとハードルが高い」という日もありますよね。
そんな時は、電話やオンラインでのやり取りも十分な交流になります。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査では、対面での交流が減った時期でも、電話などの非対面での交流頻度はあまり減らず、人とのつながりを保つ一つの手段になっていた可能性が示されているそうです。
「電話をすれば孤独が解消する」と言い切れるものではありませんが、直接会うことだけが人とつながる方法ではない、というのは覚えておいてもいいポイントかもしれません。
自治体によっては、一人暮らしのシニア向けに、定期的な電話での安否確認サービスを行っているところもあります。福岡市の「声の訪問」はその一例で、原則毎日1回、電話で安否確認や相談対応をしてもらえる無料サービスだそうです。他にも目黒区の「さわやかコール」や名古屋市の「福祉電話・電話訪問」など、似たような取り組みを行っている自治体は各地にあります。主目的は安否確認や生活相談で、いわゆる「話し相手サービス」とは少し性格が違いますが、定期的に誰かと声を交わす機会になるのは間違いなさそうです。
私はこう思う
正直なところ、こうした情報を調べながら、「もっと頻繁に実家に連絡しよう」と改めて思いました。
母の「元気よ〜」を信じたい気持ちはあるけれど、信じることと、それとなく様子を確認することは、両立できることなんですよね。
「うちの親に限って、寂しがったりしない」——そう思っていても、本人が「大丈夫」と言っている裏側までは、なかなか見えないものだと思います。だからこそ、挨拶をひと言増やす、たまに集まりに顔を出す、電話をかけてみる。そのくらいの小さな一歩から始めてみませんか。
もし、寂しさが長く続いて、眠れない・食欲がない・何もする気が起きないといった様子が見られる場合は、会話の機会を増やすことだけでなく、かかりつけ医や地域包括支援センターなど、専門の窓口に相談することも選択肢の一つとして考えてみてください。
敬老の日にちなんだ話題は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
→ 9月15日は「老人の日」!敬老の日との違いや2026年の公式イベント・楽しみ方を解説
出典:
厚生労働省「地域がいきいき 集まろう!通いの場」 記事を見る
内閣府「人とのつきあいに関する意識」 記事を見る
政府広報オンライン「地域の身近な相談相手・民生委員」 記事を見る
福岡市「声の訪問」 記事を見る
※本記事は2026年9月15日時点の公式情報をもとに作成しています。内容は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
